高齢犬のケアおすすめ5選

いつまでも子供のように可愛い愛犬も年を取ってお年寄りになります。そこで今回はお年寄りになっても、快適に毎日を過ごしていけるお手伝いになればと思い、高齢犬のおすすめケアを紹介します。

目次

環境のケア

まずは環境のケアについて紹介します。以下の点を工夫してください。

  • すべらない工夫
  • 段差をなくす
  • 安心出来る寝床の用意

すべらない工夫

高齢になると筋力が衰え、体を支えることが難しくなってきます。
足の踏ん張りがきかなくなり、歩けなくなってそのまま寝たきりになってしまう子も少なくありません。

でも、すべらない環境を整えてあげるだけで、まだ立つ力が残っている子は再び歩けるようになることがあります。

歩ける時間が少しでも長く続くことで、寝たきりになるまでの期間を延ばすことができます。
環境を整えることで、「自分で歩こうとする力」を引き出してあげられるのです。

では、具体的にどのようにすればいいのか。以下のようなものがおすすめです。

すべらない床

フローリングはどうしても滑りやすいので、マットやカーペットを敷いてあげると安心です。
中でも、シリコン製のマットは滑りにくく、汚れてもサッと拭き取れるのでとても便利だと感じます。

特にごはんやお水の場所に敷いてあげると、足元が安定して食事や水を飲みやすくなりますよ。

すべらない靴下

すべりにくい靴下は、場所を選ばず使える便利なアイテムです。
靴下を履いているだけでしっかりと滑り止めが効くので、室内でも外でも安心。

次の条件に当てはまる場合は、とてもおすすめです。
・足に合ったサイズを選べている
・靴下を嫌がらずに履ける

靴下については、ペットが快適に使えるよう設計した靴下を開発しました。
よかったらぜひチェックしてみてください。

段差をなくす

出典:楽天市場

生活の中の段差をなくすことも大事です。

ソファーやベッドの高低差の昇り降りは足腰に負担をかけます。年を取ってくると今まで問題なく着地していたものも足を滑らして痛めてしまう可能性もあります。

もしスロープや低めの階段を使えるようであれば、補助をつけてあげることで負担を減らすことができますよ。

安心出来る寝床の用意

高齢になれば一日の大半を寝て過ごすようになる子も多いため、安心出来る寝床は大切です。

以下のことを気をつけながら寝床の用意をしましょう。

  • 素材
  • 大きさ、形
  • 場所

以下、チェックポイントを紹介していきます‼️

素材

素材選びで大事なのは

  • 床ずれ対策
  • すぐ洗えるか
  • 体温調節
  • アレルギー

床ずれを防ぐためには、体圧を分散できるマットを選ぶことが大切です。
また、高齢になるとトイレにスムーズに行けなかったり、尿もれしてしまうこともあります。万が一汚れたときにもすぐ洗える素材を選ぶと安心です。

さらに、季節に合わせてあたたかい素材やひんやりする素材を使い分けてあげると、より快適に過ごせます。

ただし、ベッドに湿気やカビ、細菌がたまると、皮膚トラブルの原因になることがあります。清掃を怠るとリスクが高まるため注意が必要です。

高齢犬はベッドで過ごす時間が長く、汗や皮脂、抜け毛などが内部にたまりやすい傾向があります。これがアレルギーの原因になることもあるため、こまめに掃除や洗濯をして清潔に保つことがとても大切です。

大きさ、形

  • 犬が伸びて寝られる余裕があるか
  • 高さが床から低めで乗り降りしやすいか
  • 頭を乗せれる縁があると安心する子もいる
  • ベッドの下に滑り止めがあるか?もしくは下にマットを敷いてすべらないようにする

場所

  • 家族の近くで静かな場所(リビングや寝室の隅)
  • 床の硬さと冷えに注意
  • 段差のない場所に
  • トイレや水の近くに

結局は、静かでリラックス出来る場所が一番です。トイレとご飯もすぐ行けるようにしてあげてください。

食事のケア

年を取るとご飯が大変になるのは人も犬も一緒。次はご飯についてお話します。

  • 高齢犬用の食事への変更
  • 柔らかくて食べやすいフード
  • 少量頻回

高齢犬用の食事への変更

高齢になると、消化機能や筋肉、関節、心臓・腎臓の働き、そして免疫力など、さまざまな体の機能が少しずつ衰えてきます。

そのため、体の変化に合わせてフードを見直してあげることが大切です。

シニア犬用フードでは、消化しやすい良質なたんぱく質を使用していたり、高齢犬の体に合わせてミネラルバランスを調整していたりします。さらに、関節の健康をサポートするグルコサミンやコンドロイチンが配合されているものもあります。

たとえば、ペットフード大手のロイヤルカナンの高齢犬用フードでは、年齢に応じた栄養バランスの違いがしっかり考えられています

出典:ロイヤルカナンHP

「ニュータードケア」は成犬向けのフードですが、高齢犬用のものと比べると、必要な栄養素の構成が変わっているのがよくわかります。

年齢によって必要な栄養が変化するため、それに合わせた食事を選ぶことが大切です。

柔らかくて食べやすいフード

犬も年を取ると、人と同じように食べ物を飲み込む力が弱くなっていきます
そのため、今までと同じようにカリカリのドライフードを与えていると、うまく口の中に入らずポロポロこぼしてしまう子も少なくありません。

また、年齢を重ねると消化機能もゆるやかになってくるため、柔らかくて飲み込みやすいフードのほうが体に負担をかけず、食べやすくなります。

さらに、柔らかいフードは水分を一緒に摂れるというメリットもあります。
水をあまり飲まなくなる高齢犬や、腎機能が弱ってきている子にとっては、一石二鳥の工夫です。
ぜひその子の状態に合わせて、食べやすい形にしてあげてください。

獣医さん

我が家は高齢用フードをお湯にふやかしてお団子みたいに丸めて口の中に入れてましたよ。

少量頻回

少量を何回かに分けてあげると、一度の消化に負担がかかりにくいだけでなく、実はとても大事なメリットがあります。
それは――食事で疲れにくいということです✨

ごはんを食べるのは、ただ口に入れるだけではなく、
体を支える筋力や、噛む・飲み込む力など、思っている以上に体力を使う作業です。

高齢のわんちゃんにとっては、それが意外と大変。
だからこそ、焦らずゆっくり食べられるようにしてあげることが大切です。

また、足腰が弱ってきているので食べる体勢を保つのも一苦労です。ご飯の器の位置を高くしてあげたり、ご飯を口雨元にもっていくだけでぐんと食べやすいくなります。

これらの工夫で、一日の中で食べられる量が増えやすくなり、栄養もしっかり摂れるようになりますよ🐾

身体のケア

  • ブラッシング
  • 床ずれ予防
  • マッサージ

ブラッシングや定期的なシャンプー

年を重ねると、だんだんと足の踏ん張りがきかなくなって、シャンプーのときに立っているのが大変になる子も多いですよね。
それでも、できる範囲でブラッシングやシャンプーを続けてあげることはとても大切です。

毛玉ができると、その部分が蒸れてかゆみや皮膚トラブルの原因になります。
日ごろからブラッシングをして毛玉を防ぐことで、シャンプーのときも汚れが落ちやすく、体を清潔に保ちやすくなります。

毛量が多くてシャンプーが大変だったり、できるだけ短時間で済ませたい場合には、アンダーコート(下毛)を取り除くブラシを一緒に使うのがおすすめです。

使いやすく、ワンちゃんが痛くないように設計しました。

もし、こまめなシャンプーが難しい場合は、

  • 水を使わずに汚れを落とせる ドライシャンプー
  • 拭くだけでスッキリする 使い捨てタイプのシャンプータオル

といったアイテムも便利です✨

無理のない方法で、わんちゃんが気持ちよく、清潔に過ごせるお手入れを続けてあげてくださいね。

床ずれ予防

床ずれ予防で大事なことは以下の通り。

  • 体圧分散マットの使用
  • 数時間おきに体位を変えること
  • できる限り寝たきりの状態を先延ばしにすること

体圧分散マットを使ったり、数時間おきに体の向きを変えてあげることで、同じ場所に圧力がかかって血流が悪くなるのを防ぎ、床ずれの予防につながります。

ワンちゃんによっては「左を下にする方が楽」「右を下にする方が好き」といった好みがあるかもしれませんが、同じ姿勢が続くと床ずれのリスクが高まります。少しずつ体勢を変えてあげましょう。

 

一度床ずれができてしまうと、高齢犬では治りにくいため、できるだけ床ずれを起こさないケアがとても大切です。

体勢を変える際には、左下や右下だけでなく、「伏せ」の体勢も取り入れると、肘・腰・かかとなどへの負担を分散できます。高齢犬が伏せの姿勢を保てるようにサポートしてくれる介護用マットもありますので、活用すると安心です。

また、意外と見落とされがちなのが、「寝たきりの期間をできるだけ短くすること」です。足腰が少し弱ってきたからといって寝かせきりにせず、筋肉を使ってできるだけ長く立ったり動いたりできるようにサポートしてあげましょう。

そのためには、滑り止めの靴下やマット、介護用ハーネスなどを上手に使って、転倒を防ぎながら筋力の維持をサポートしてあげるのがおすすめです。

マッサージ

マッサージには、血流を良くするだけでなく、筋肉のこわばりを防ぐ効果もあります。

高齢になると次第に歩く時間が減り、足をあまり動かさなくなってしまいます。すると関節が固くなり、ますます動けなくなってしまうことがあります。

筋肉が弱っているうえに関節までこわばっていると、歩こうとしても思うように足が動きません。
そのため、足の曲げ伸ばしをして関節をやさしく動かしてあげることがとても大切です。

排泄ケア

  • トイレの場所
  • こまめにトイレに連れていく
  • おむつなどの使用

高齢になると、自分でトイレに行くのが難しくなったり、歩けてもトイレ以外の場所で排泄してしまうことがあります。

これは、排泄を長時間我慢できなくなることや、腎機能の低下で尿量が増えることなどが原因です。そのため、若い頃よりもこまめにトイレに行く必要が出てきます。

しかし、年齢とともに足腰が弱っていると、何度もトイレに行くのはワンちゃんにとって大変です。
そこで、できるだけトイレに行きやすい環境を整えてあげましょう。
例えば、

  • トイレをベッドの近くに設置する
  • トイレまでの段差をなくす・滑らないようにする
    といった工夫で、ワンちゃんの負担をぐっと減らせます。

また、「トイレに行きたい!」と感じても間に合わないことがあるため、時間を決めてこまめにトイレへ誘導してあげるのも大切です。

それでも夜間など、常にそばについているのは難しいですよね。
そんなときは、おむつを上手に活用しましょう。
最近では、便を別にキャッチできるタイプもあり、おしりが汚れにくくとても便利です。

コストを抑えたい場合は、人用のおむつにしっぽ用の穴を開けて代用することもできます。
また、便をキャッチする部分を手作りする工夫も可能です。

STEP
1枚目のおむつを装着

まず、ぴったりサイズのおむつを用意して、おしりのところを広めにハサミで切り取ります。

(ここから便が落ちるようにします。)

穴が大きすぎると尿がもれちゃうから注意です。

STEP
2枚めのおむつを装着

2枚目のおむつは少し大きめのおむつにしてください。

このおむつは便をキャッチするためのもの。1枚目でおしりのところを切り取った部分から落ちた便をキャッチします。

もし排泄で体が汚れてしまったら、すぐにきれいにして清潔を保つことが大切です。
そのままにしておくと皮膚がかぶれる原因になります。
ぬるま湯で優しく洗ってあげるだけでも、ワンちゃんはとても気持ちよく過ごせますよ。

夜泣き対策

  • 太陽の光を浴びさせる
  • 知育玩具の使用
  • 声掛け
  • 獣医師に相談

高齢になると昼夜逆転する子がいます。昼夜逆転で何が困るかというと、夜中寝ずに一晩中鳴いていることがあります。そうなると人間も寝れませんし、ご近所のことも気になりますよね。

ここでは、夜泣き対策について紹介します。

太陽の光を浴びさせる

太陽の光を浴びたら以下のようなメリットがあります。

  • 体内時計が整い、夜に眠くなりやすい
  • 外の刺激を受けて、脳が活性化する

犬にも人と同じように体内時計があります。
日中にしっかり光を浴びるとリズムが整い、「昼は起きる、夜は眠る」という自然なサイクルが作られます。

さらに、太陽の光を浴びることで脳内ではセロトニンが分泌されます。
このセロトニンは、夜になると眠気を誘うメラトニンに変わるため、昼間に光を浴びることが「夜ぐっすり眠る準備」になるんです。

そして、外に出ることで受ける刺激もとても良い効果があります。
草の匂い、土の感触、風の心地よさ、鳥の声…。
こうした自然の刺激は脳を活性化させ、認知機能の維持にもつながります。

さらに、外に出ることで無理のない範囲で体を動かすきっかけにもなります。
短い距離を歩いたり、ゆっくり体を動かすだけでも、適度な運動となり、夜によく眠れるサイクルづくりにもプラスです。

獣医さん

無理のない範囲で太陽の光を浴びることも意識してみてください。

知育玩具の使用

「ノーズワーク」といわれるような知育玩具の使用も、脳の活性化に約立ちます。

具体的には、おやつやフードを宝探しみたいに隠して探させる遊びを取り入れます。足が不自由になっても出来る遊びなのでぜひ取り入れてみてください。

声掛け

夜泣きの原因のひとつに、昼夜逆転があります。
昼間によく寝てしまうと、そのぶん夜に眠れなくなり、結果として夜泣きにつながりやすくなります。

つまり、昼間はできるだけ起きていてもらうことがポイントです。

昼間にウトウトし始めたら、やさしく声をかけたり、軽く刺激を与えて起こしておくのも効果的です。
無理のない範囲で、少しだけ目を覚ましてもらうだけでもリズム作りに役立ちます。

また、前に紹介したノーズワークを取り入れるのもおすすめ。
匂いを使う遊びは脳を刺激し、自然と覚醒時間を延ばすことができます。

獣医師に相談

それでも無理ならやっぱり近くの動物病院に相談してください。

床ずれの治療や、本格的な夜泣きは病院からの処方が必要な場合もあります。家族だけで悩まないで、専門家にも頼ってくださいね。

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この記事を書いた人

動物病院で犬・猫の診療を行っています。
ペットの日々の生活が豊かになるヒントをお届けします。

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