高齢犬がかかりやすい病気について、以下の5つを詳しくご紹介します。
1. 関節炎(Arthritis)

関節の炎症や硬化により、動きが鈍くなり、痛みを感じやすくなります。
もし愛犬が最近よく寝てばかりいる場合は、痛みのせいで動きたくないのかもしれません。
また、体重が増えると関節への負担が大きくなり、関節炎が悪化しやすくなります。
そのため、適正体重を保つことは大切な予防のひとつです。
さらに、フローリングなどの滑りやすい場所では転倒しやすくなるため、滑り止めマットを敷いて環境を整えてあげることもおすすめです。
関節炎 対策①食事の管理やサプリメントの使用
関節ケアには「適正体重の維持」がとても大切です。
まず大前提として、体重を適正に保つことは関節の負担を減らす一番シンプルで効果的な方法です。
体が軽くなるだけで、歩きやすさがぐっと変わってきます。
高齢犬用フードは関節サポート成分がポイント
最近では、高齢犬向けのフードに
- グルコサミン
- コンドロイチン
など、関節の健康を助ける成分が配合されているものが多く見られます。
こうした成分が入っている「質の良いフード」を選んであげると、日々のケアにつながります。
代表的なものでは、
ロイヤルカナン や サイエンスダイエット などが選びやすくておすすめです。

サプリメントの活用についても紹介します。
サプリメントの中には関節に良い成分だけでなく、炎症を抑えて痛みを和らげる作用を持つものもあります。
症状の強さによって選ぶべきタイプが変わるため、サプリメント選びは動物病院に相談しながら進めると安心です。
関節炎 対策②環境
高齢になると足腰の筋力が落ちてくるため、フローリングなどで滑って足をひねり、関節を余計に痛めてしまうことがあります。
こうした怪我を防ぐためには、事前に滑りにくい環境を作ってあげることが大事です。
- つまづかないように段差をなくす
- すべりどめのマットや靴下を使う
- 階段を使わなくてよい生活にする
関節炎 対策③動物病院に行く
足の動きがぎこちない、触ろうとしただけで「キャンッ!」と鳴く――。
ここまで症状が進んでいる場合は、早めに動物病院を受診するタイミングです。
痛みを放っておくと、歩くことを避けるようになり、その結果さらに筋力が落ちて、ますます歩けなくなってしまいます。
さらに、高齢になると体に“しこり(腫瘤)”ができる可能性も高くなるため、本当に関節の痛みだけなのか、しっかり診察してもらうことが大切です。
2. 歯周病(Periodontal Disease)


歯肉の炎症や歯の周囲の感染症により、歯の脱落や痛み、口臭が発生します。ひどくなると、ご飯を食べられなくなることや、歯がほとんど抜けてしまうこともあります。予防には以下の方法が効果的です:
- 食後の歯磨きを習慣にする
- ウェットフードではなく、できるだけドライフードを与える
- 食後に水を飲ませる
食後の歯磨きについて
歯周病を予防するためには、食後の歯みがきがとても大切です。
食べかすは数日で歯石に変わり、その歯石はバイ菌のかたまりです。放っておくと、歯周病が進行しやすくなってしまいます。
とはいえ、ワンちゃんが歯磨きに慣れていない場合、最初から歯ブラシを使うのはハードルが高いことも多いです。
まずは ガーゼ や 歯みがき用手袋 を使って、少しずつ練習しながらステップアップしていきましょう。
ただし、すでに歯周病が進んでいて口に痛みがある子は、いきなり歯磨きを始めると逆効果になることがあります。
痛みで嫌な経験をすると、どんどん歯みがきを拒否するようになってしまいます。
そのような場合は、無理をせず早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
ウェットフードではなく、できるだけドライフードを与える
ウェットフードが好きなワンちゃんは多いですが、歯の健康だけを考えるとドライフードの方が歯石がつきにくいとされています。
ウェットフードは水分が多くベタつきやすいため、食べかすが歯に残りやすく、その分歯石もできやすくなるためです。
ただし、腎臓が悪くて飲水量を増やしたい場合や、年齢とともに飲み込みがしにくくなっている場合などは、無理にドライフードだけにこだわる必要はありません。
その子の体調や状況に合わせて、ウェットフードを上手に取り入れることが大切です。
愛犬の様子を見ながら、その子にとって負担の少ない食事スタイルを選んであげてくださいね。
食後に水を飲ませる
食後にお水を飲ませるだけでも、食べかすがある程度流れ落ちてくれるため、口の中を清潔に保つ助けになります。
この方法は、すでに口が痛くて歯みがきができない子や、柔らかいものしか食べられない子でも無理なく取り入れられます。
取り組みやすいケアだと思うので、まずはここから試してみてくださいね。
3. 心臓病(Heart Disease)


犬の心臓病としては僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症がよく見られます。
症状としては、咳、疲れやすさ、呼吸がしづらいなどがあげられます。
高齢になると発症する確率が高くなるため、予防法はありませんが、早期発見と治療がとても重要です。
定期的に動物病院での診察を受け、聴診してもらうことが大切です。また、咳などの症状が出た場合は、早めに受診しましょう。
一方、予防できる心臓病としてフィラリア症があります。
フィラリアは蚊によって媒介され、心臓に寄生する寄生虫です。
毎月の予防薬で感染を防ぐことができるので、忘れずにお薬でしっかり予防してあげましょう。


4. 認知症
高齢犬の認知症は、人間と同じように脳の働きが低下することで起こります。10歳を超えるあたりから少しずつ進行することが多く、飼い主さんが「あれ?最近様子がおかしい」と気づくのが第一歩。早めにケアを始めることで、進行をゆるやかにできるのです。
よく見られる症状
- ぐるぐると同じ方向に回り続ける(旋回行動)
- 壁や家具にぶつかる
- 後ろに下がれない、狭い隙間で動けなくなる
- 名前を呼んでも反応が鈍くなる
- 昼夜が逆転して、夜中に鳴く・歩き回る
- トイレの失敗が増える
- 食欲や睡眠リズムが乱れる
特にダックスフンドやチワワなどの小型犬は、白内障を併発しているケースも多く、目が見えにくいことで「壁にぶつかる」「後ろに下がれない」といった症状がより目立つようになります。
対策① 環境を整える
認知症の子は、急な変化や障害物に強いストレスを感じます。
- 家具の配置はなるべく変えない
- ぶつかりやすい家具の角にはコーナーガードをつける
- 旋回しても安全な、円形のサークルや広めのスペースを確保する
- 段差を減らして、滑りにくい床にする
白内障で視界がぼやけている場合は、においや手の感触で安心できるよう、飼い主さんの匂いがついたタオルなどをそばに置いてあげるのも効果的です。
対策② 食事・サプリメントで脳をサポート
認知症の進行をゆるやかにするには、抗酸化作用のある栄養素が役立ちます。
- DHA・EPA(青魚由来のオメガ3脂肪酸)
- 抗酸化物質(ビタミンE・C、L-カルニチン)
- 中鎖脂肪酸(MCTオイル)配合のシニア向けフード
ヒルズの「サイエンス・ダイエット シニアプラス」や、ロイヤルカナンの「エイジング」シリーズには、脳の健康を意識した処方の商品があります。
対策③ 動物病院で診断・お薬を相談
「年だから仕方ない」と諦めず、必ず動物病院で診てもらってください。認知症は他の病気(脳腫瘍・甲状腺機能低下症など)と症状が似ていることもあるからです。
- 不安や夜鳴きをやわらげるお薬
- 白内障の進行を遅らせる目薬
定期的な健康診断とあわせて、症状を獣医師に正直に伝えることが、愛犬の穏やかな老後につながります。
5. 多飲(Polydipsia)


多飲はさまざまな病気の症状として現れます。代表的な病気は以下の3つです:
糖尿病
インスリンが適切に生産されない、または効きづらくなることで血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。
その結果、体重が減ったり、食欲が増えたり逆に落ちてしまうことがあります。重症になると、ぐったりして昏睡状態に陥ることもあります。
主な原因としては、
- 膵臓の炎症
- 遺伝的な要因
- 肥満
- クッシング症候群や発情周期などのホルモン異常
- 長期のステロイド使用
などが挙げられ、これらが引き金となって糖尿病が発症します。
早めの避妊手術や肥満予防は、糖尿病の発症リスクを下げるためにもとても大切です。
日頃から予防医療を意識し、正しい食生活と体重管理をしてあげましょう。
腎臓病
腎不全とは、腎臓が正常に働かなくなり、体の中の老廃物や余分な水分をうまく排出できなくなる状態をいいます。
腎臓は本来、
- 血液をろ過して老廃物を排出する
- 電解質(ナトリウム・カリウムなど)を調整する
- 血圧を整える
- 赤血球を作るホルモンを出す
など、とても重要な役割を担っています。
その腎臓の機能が落ちると、全身にさまざまな影響が出てしまいます。
早期発見、早期対応が大切な病気です。最近飲水量が増えた、体重が落ちてきたなど気になる症状があれば早めの動物病院の受診を行ってください。
クッシング症候群:
コルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。お腹が大きくなる、皮膚が薄くなる、筋力低下、パンティング(息切れ)などの症状が見られます。
以前は、治療してもしなくても余命には影響しないと言われていましたが、最近のレポートでは治療したほうが生活の質も上がるし、長生きすると報告されています。
これらの病気は早期発見が重要です。愛犬の健康を守るために、定期的な健康診断と注意深い観察を心がけましょう。
子宮蓄膿症
未避妊の女の子に多い病気で、特に中年以降(7歳以上)になると発症が増えます。実際に、7歳以上の未避妊の犬の約20%で起こると言われています。
この病気は、子宮の中で細菌が増えてしまうことで全身に炎症が広がり、重症の場合はショック状態になることもあります。「昨日まで元気でご飯も食べていたのに、今日はぐったりしている」という急激な変化も珍しくありません。
治療は緊急の手術が必要になります。予防するためには、若くて健康なうちに避妊手術をしておくことが最も効果的です。元気なタイミングでの早めの手術をおすすめしています。








