ダニから感染する病気はいろいろありますが、獣医が紹介するブログですから犬・猫も感染する怖い病気のひとつ、SFTSについて紹介します。
- SFTSについて
- SFTS対策方法
- SFTS予防法
獣医さん最近増えてきたダニからの感染症、SFTSについて是非学んでいってください。
SFTSってなんですか?
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニによって感染する病気です。
人にも感染するため、「人と動物の両方にうつる感染症(人獣共通感染症)」として知られています。
SFTSウイルスを持っているマダニは全体の数%程度とされており、マダニに咬まれたからといって必ず感染するわけではありません。
しかし、ひとたび感染すると重症化することもある、とても注意が必要な病気です。
そのため、「体調が悪い」「ダニに咬まれたかもしれない」といった場合は、できるだけ早く医療機関・動物病院を受診してください。
これは人だけでなく、犬や猫にも同じことがいえます。
大切な家族を守るためにも、早めの対応を心がけましょう。
家の中にいるダニとは違うのですか?




マダニは、寝具や衣類、食品まわりに発生する一般的なダニとはまったく別の種類です。
大きな特徴は、そのサイズ。
マダニは肉眼で確認できるほど大きく、吸血することでさらに体が大きくなります。
吸血前は約3〜8mmほどですが、吸血後には10〜20mmほどまで膨らむこともあります。
また、マダニにはさまざまな種類が存在しますが、日本では「フタトゲチマダニ」や「キチマダニ」からの感染が報告されています。(参考画像:厚生労働省)



見た目も性質も、いわゆる“家の中のダニ”とは大きく異なるため、正しく知っておくことが大切です。
日本でのSFTS発生状況
日本でのSFTSは、これまで主に西日本を中心に発生してきました。
なお、動物のSFTS感染症には届け出の義務がないため、ここでは人の症例データをもとにご紹介します。


2025年には、これまで報告のなかった秋田県・神奈川県・岐阜県から新たに届け出があり、神奈川県と岐阜県が推定感染地域として追加されました。
さらにその後、8月には北海道や茨城県でも感染が疑われる報告が出ています。



こうした状況から、SFTSはこれまでの西日本だけでなく、少しずつ全国へ広がってきていると考えられます。
次は、年度ごとの犬、猫での発生報告数を紹介します。


グラフの通り、犬・猫ともにSFTSの発生報告数は年々増加しています。
なかでも猫は、犬に比べてかなり多くの症例が報告されています。
その理由のひとつとして、猫はSFTSに感染すると重症化しやすく、症状に気づきやすいことが考えられます。
実際に動物病院で診察していても、猫の症例は年々増えている印象があります。一方で、私自身はこれまで犬でSFTSを診断した経験はありません。
また知っておいてほしいこととしてSFTSはダニからの感染症ですが、冬場にも感染がみられます。


また、ぜひ知っておいていただきたいのが、SFTSは「ダニが原因の感染症=暖かい時期だけの病気」ではないという点です。
たしかに春や秋はマダニの活動が活発になるため、発生が多くなる傾向があります。
一方で、7〜8月は意外と少なくなっています。これは、真夏の暑さによってマダニの活動がやや落ちるためと考えられています。
そして意外かもしれませんが、真冬でも発生が見られます。
「寒いから大丈夫」と油断せず、年間を通して注意していくことが大切です。



実際、去年(2025年)は私も毎月SFTSの猫を診断しました。冬にもしっかり感染するのでマダニ対策は忘れずに。
SFTSに感染すると、どんな症状がありますか?
猫の場合
猫のSFTS感染では以下のような症状がみられることがあります。
- 発熱
- 消化器症状(食欲不振・嘔吐・下痢など)
- 元気がなくなる
- 黄疸(体や目が黄色くなる)
さらに、動物病院で検査をすると
- 白血球や血小板の減少
- 黄疸の数値異常
- 肝酵素やCKの上昇
といった異常が見つかることもあります。
ただし、これらの異常はすべての猫に当てはまるわけではありません。
個体差や検査のタイミングによって、
👉 すべての異常が出る子もいれば
👉 ほとんど異常が見られない子もいます
猫は重症化しやすいので要注意‼️
猫の致死率は約50%前後といわれています。
さらに、体内のウイルス量が多い場合は
👉 致死率が95%以上になるとも報告されています。
🚨 こんな時は要注意
特に注意したいのがこちら👇
外に出る猫で、急に元気や食欲がなくなった場合
このような変化があれば、
早めにしっかりと検査を受けることをおすすめします。
犬の場合
犬の症例は猫に比べて少ないですが、
- 元気・食欲の低下
- 発熱
- 白血球や血小板の減少
といった症状がみられることがあります。
ただし、猫よりも軽症で済むケースが多く、感染していても症状が出ない
👉 不顕性感染
の可能性が高いのも特徴です。
治療法はありますか?



犬、猫でのSFTSの治療法は確立されていません。
致死率は猫で50%前後、ウイルス量が多い場合は95%以上、犬では40%以上と言われています。また、感染した動物から人へも感染します。
人の死亡率は27%と報告されており、高齢者で重症化しやすい傾向があります。
感染すると命に関わる可能性があるにもかかわらず、確立された治療法がない病気です。
そのため、感染しないように予防することがとても大切です。
ノミ・ダニの予防薬で防げますか?
ノミ・ダニの予防薬は、ダニに咬まれたあとに薬が効いて駆除するタイプがほとんどです。
つまり、「ダニに血を吸われないように防ぐ薬」ではありません。
SFTSは、ダニが血を吸うタイミングで感染します。
そのため、吸血後にダニを駆除するタイプの予防薬だけでは、残念ながらSFTSの感染そのものを完全に防ぐことはできません。
実際に、ノミ・ダニの予防薬を使用していてもSFTSに感染したケースを、これまでに何例も診察してきました。
とはいえ、予防薬が無意味というわけではありません。
ダニが体についた場合でも駆除することができるため、SFTSウイルスを持ったダニを生きたまま家の中に持ち込んでしまうリスクは減らすことができます。



SFTSウイルスを持つダニをしっかり駆除し、家の中に持ち込ませないことは、人や同居している動物への感染予防につながります。
もし、ペットが感染したらどうしたら良いですか?
SFTSは、動物の身体のいろんなところから排出されます。
よだれ、涙、糞尿などあらゆるものが感染源になるので、動物とふれる時は手袋、マスクなどをして感染しないように十分注意して近くの動物病院に受診してください。
SFTSまとめ
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、人も動物も感染する病気(人獣共通感染症)です。近年、発生地域が拡大しており、発生報告数もどんどん増えています。
これまでは西日本を中心に発生していましたが、2025年には北海道での発生も報告されています。
ウイルスを持ったマダニから吸血されることにより感染しますが、致死率が高く、動物では治療法が確立されていません。ですので、マダニの予防がとても大切です。
✅️特に猫は要注意です‼️
犬よりも猫の方が感染しやすく、重症化しやすいとされています。
そのため、
👉 猫はできるだけ外に出さないこと
👉 予防薬でマダニ対策をしっかり行うこと
がとても大切です。また、被害の拡大を防ぐために予防薬によるマダニの駆除を行いましょう。
もし、SFTSを疑うような子がいれば、すみやかに動物病院へ受診してください。



SFTS治療中の獣医師の死亡も報告されています。
動物病院へ受診するときは猫ちゃんはネットに入れて連れてきていただけると助かります。







